6月20日、雨のち曇り。最高気温の予想は21度。肌寒い。今日も睡眠時間は4時間未満。猛烈に眠い……。眠すぎる。多分、横になったら1分で寝られる。でも木曜日は、毎週発行する週刊紙の山場。寝てられない。というワケで、大量のゴハンを食べつつ、ホテルで校正と原稿作りの嵐。
今日の朝イチは、「バレンシアガ(BALENCIAGA)」。プレコレクションの展示会は毎シーズン、メンズコレ期間中に開かれます。
普通プレは「前」という名前の通り、そのあとすぐに発売するメインと連動するのが一般的ですが、今回から「バレンシアガ」のプレは前のメインコレクションとリンク。つまりこちらの20年プレスプリングは、19-20年秋冬と同じ世界観を有しています。デムナ・ヴァザリア(Demna Gvasalia)は20年プレスプリングを19-20年秋冬と一緒に考えて、その分20年春夏について考える時間を増したそう。相変わらず、ベストの追求が最優先で、業界の慣習にはとらわれません。
ということで春夏にもかかわらず、コレクションにはフェイクファーやウールのコートも登場。シルエットは引き続き、合わせの位置をずらした“シフテッド(Shifted)”です。
お次は「キディル(KIDILL)」。ランウエイ形式のプレゼンテーションです。80’sパンクの潔い直球勝負!原色に動物モチーフ、“改造”と言うべきハイブリッドなど、朝からパンチをガツンと食らったカンジ。
モデルも、エラそうって言うかナマイキって言うか、いいカンジ!スーパーモヒカンヘアは、前が見えるのかな?
なんて思ってたら、ゲストもパンク!彼、パンツ丸見えなんですけど!
イッセイミヤケは今シーズン、「イッセイ ミヤケ メン(ISSEY MIYAKE MEN)」に代わり「オム プリッセ イッセイ ミヤケ(HOMME PLISSE ISSEY MIYAKE)」の2020年春夏を発表。こちらもネオンカラーの原色が盛りだくさん。モデルも走ったり、飛んだり、回ったり元気いっぱいです。雨が止んで、爽やかな空気に包まれた公園でのプレゼンは、幸せな気持ちにさせてくれます。
フィナーレでは七色のテープを持ったモデルが、そのテープを編み込むようにグルグル回ります。6月10日発売の「WWDジャパン」インクルージョン(包摂・包括性)&ダイバーシティー(多様性)特集では、I&Dの先進企業ピンタレスト(PINTEREST)が多様な人間と交わることを「編む」と表現しているという話を紹介しました。この演出を見て、「まさに『編む』だなぁ」なんて思い。清々しい気分です。
続く「サルバム(SULVAM)」も今シーズンは爽やか。ピュアにキレイでクリーンなセットアップ。そこにほんのり「サルバム」っぽい荒々しさの“かけら”を残しました。でも時間がメチャクチャなくって、5分で退散。デザイナーの藤田さんにもご挨拶できず(涙)。スケジュールとは言え、どうにかならないものですかね、こういうの。
出ました、「リック オウエンス(RICK OWENS)」です。会場はセメントの山。このためにぶちまけたセメントは固まっておらず、溶岩のようにおどろおどろしい。続いてローブのような洋服を羽織った男性が現れ、祈りとも呪いともとれる声を出しながらタイコをポンポン。それがBGMです。アナーキーだわ~。
とは言え、ショーにはスパンコールのジャケットなども登場し、いつもより洗練されたムード。「チャンピオン(CHAMPION)」とのコラボスエットは、ロンパースみたいなパターンです。
本日、パリは市内いたるところで大渋滞。どうやら60カ所以上で道路工事の真っ最中らしく、朝乗ったタクシーも通行止めに遭遇しました。ってことでバス移動するも、これがまた激混み!!全然進みません(泣)
昨日コレクションを発表した「ヴァレンティノ(VALENTINO)」の展示会へ。ニードルパンチや総刺しゅうにうっとりしたり、驚いたり。アクセサリーは別記事をお楽しみに。
さぁ、待ってましたの「ルイ・ヴィトン(LOUIS VUITTON)」です。会場は、セーヌ川に浮かぶ小島のドフィーヌ広場。ここには公園を取り囲むようにカフェやレストランが立ち並んでいますが、なんと、この一角をぜ〜んぶ借り切ってショー会場にしちゃいました。もちろん周辺の店舗は臨時休業。となると営業補償を支払わなくちゃなワケで、「『ルイ・ヴィトン』は一店舗につき幾ら払うんだろう?」「ここには何軒あるんだろう?」なんて“いやらしい”ことを考えてしまいがちですが、素直に、ありがたく楽しみましょう!!
ショーの前にはクレープやジェラートの屋台が登場し、エッフェル塔の模型やシャボン玉のお土産も。大道芸人は風船の帽子を作ってくれました。それを被って、ランウエイショーを楽しみましょう。
今シーズンもヴァージル・アブロー(Virgil Abloh)の「ルイ・ヴィトン」は、キャッチーなアクセサリーが目白押し。もともとアクセサリーブランドだった「ルイ・ヴィトン」における洋服の在り方を考える彼はデビュー以降、“着られるバッグ”を提案し続けています。今回はついに、バッグがマジで洋服になっちゃいました。
お次は「ヨシオ クボ(YOSHIO KUBO)」。すでに記事化した、船上でのVRランウエイを体験です。セーヌ川に浮かぶ船に入ると、椅子&VRゴーグル。
装着すると、この写真のみんなが、三重県・尾鷲の海岸を歩くランウエイショーが見れちゃうワケです。
こんな風にゴーグル姿でランウエイを見る様子は、相当シュールです。でもVRでほとんど全部、洋服のことはわかっちゃいますね。素材感さえ、実際のランウエイで見るのとあまり変わりません。となると実際のショー会場では、僕たちは何を見たらいいのか?何を感じるべきなのか?そんなことを考える良いきっかけになりました。
さぁ、セーヌ川の左岸、サン=ジェルマンから4番線に長いこと揺られ、「ドリス ヴァン ノッテン(DRIES VAN NOTEN)」にやってきました。現代の男らしさを考えるスーツ、そして花柄とレオパード。肩にパッドをしっかり入れた、ウエストマークのスーツが主流です。かっちりしたスーツで男らしく、そこに光沢素材の花柄シャツを堂々合わせる。それが一番男らしい。そんなメッセージを受け取りました。
今日のパリメンズは特別スケジュール。カール・ラガーフェルド(Karl Lagerfeld)のお別れ会のためです。「シャネル(CHANEL)」と「フェンディ(FENDI)」、そして「カール ラガーフェルド」が共催したイベントの中身は、別記事をご参照。パリのシンボルであり、カールが「シャネル」で幾度となく壮大なショーを開いたグラン・パレが舞台です。
イベントは、カールの半生を捉えたでっかいパネルに囲まれながら、アラン・ヴェルテメール(Alain Wertheimer)=シャネル共同オーナーからシルヴィア・フェンディ(Silvia Fendi)=「フェンディ」クリエイティブ・ディレクター、それに親交の深かったデザイナーやジャーナリスト、スタイリストを書籍に囲まれたカールの自室に招き、思い出を語ってもらった映像の上映会。もちろんカールの秘蔵映像も満載で、「『フェンディ』のFFロゴ(FUN FURという意味なのですよ)は3秒で思いついた」とか、その「フェンディとの契約の時、大遅刻した」とか、「部屋中に散らかる紙は一枚一枚、何を描き、どこに置いたか覚えている。3つの部屋に散らかるのは、ドイツ語、イタリア語、そしてフランス語を付したデッサン。あ、領収書だらけの部屋もあるから、汚い部屋は全部で4つ」など、お茶目なシーンも盛りだくさんでした。
残念ながら映像は撮影NGでしたので、会場の雰囲気だけをお伝えします。映像、映画化されるんじゃないかな?
本日のラストは、「ヴェトモン(VETEMENTS)」です。会場は、シャンゼリゼ通りの「マクドナルド(McDONALD’S)」。「LV」には及びませんが、こちらも丸ごと貸し切りました。コレクションは、いつもどおりの誇張したシルエットと、古着を大解剖したような足し算のピースのオンパレード。フライドポテトを持ってウォーキングするモデルは、もはやただの「『マクド』のお客さま」ですね。
ということで、本日は21:30に終了!健全!久しぶりに、ちゃんと寝ます。